社員40名・情シス不在のとき、最初に手をつける3つ
従業員が10〜50名で、情報システムの担当者がいない会社が、最初に手をつけるべきことは3つです。アカウントと権限の棚卸し、ITの窓口を一本にすること、そして基本セキュリティの3点。この3つをやるだけで、「詳しい人が辞めたら詰む」「取引先からのセキュリティ確認に答えられない」という状態から抜けられます。順番もこの通りです。
この記事の対象
- 従業員10〜50名で、情報システム専任の担当者がいない
- 総務や「PCに詳しい社員」が兼任している
- Google Workspace や Microsoft 365 などのクラウドサービスを使っている
「やらなきゃとは思っているが、何からか分からない」会社向けに書いています。すでに情シスがいる会社には当たり前の内容です。
1. アカウントと権限を棚卸しする
最初にやるのは、会社が使っているサービスと、そのアカウントを全部書き出すことです。地味ですが、これがないと他のことが何もできません。
書き出す項目は4つで十分です。
| 項目 | 例 |
|---|---|
| サービス名 | Google Workspace、Slack、会計ソフト、勤怠、銀行の法人ネットバンキング |
| 誰が使っているか | 在籍社員の名前。退職者の名前が残っていたらそれが最初の発見 |
| 管理者は誰か | アカウントを追加・削除できる人。「辞めた人」「外部の制作会社」になっていることがよくある |
| 月額・契約先 | 請求書の宛先と金額。使っていないライセンスがここで見つかる |
やり方はスプレッドシート1枚で構いません。ポイントは、記憶ではなく請求書と管理画面を見ながら書くことです。「こんなものだろう」で書くと、必ず漏れます。
棚卸しが終わったら、その場で2つだけやってください。
- 退職者のアカウントを停止する(削除ではなく停止。データが必要になることがある)
- 管理者権限を、今いる社員2名以上にする(1名だとその人が休んだときに詰む)
これで「入退社のたびにバタバタする」問題の半分は片付きます。残り半分は、入社・退社のチェックリストをこの一覧から作るだけです。
2. ITの窓口を一本にして、記録を残す
情シス不在の会社でいちばん多いのは、「詳しい人に何でも集中する」状態です。PCが遅い、Wi-Fiがつながらない、プリンターが動かない。全部その人の席に行く。本人の仕事は止まり、対応の記録はどこにも残りません。
直し方は単純で、「口頭で頼む」をやめて、窓口を1つに決めることです。
- SlackやLINE WORKSに「#it-問い合わせ」のような専用チャンネルを作る
- ITの困りごとは、必ずそこに書く。口頭で言われたら「チャンネルに書いて」と返す
- 解決したら、何をしたかを1行返信する
これだけで、同じ質問が何度も来ることが減り、「詳しい人」が休んでも過去のやりとりを見て自分で解決できるようになります。将来、外に任せるときも、このチャンネルの履歴がそのまま引き継ぎ資料になります。
記録は完璧でなくて構いません。「どこを見れば分かるか」が決まっていることが重要です。
3. 基本セキュリティを3点だけやる
セキュリティはやることが無限にあるように見えますが、この規模の会社が最初にやるべきことは3つです。取引先から届くセキュリティチェックシートでも、ほぼ必ず聞かれる項目です。
多要素認証(MFA)を全員に有効にする
パスワードが漏れても、スマホの確認がなければログインできなくなります。Google Workspace も Microsoft 365 も、管理画面で「全員に必須」にできます。メールとファイル共有が守られれば、被害の大半は防げます。
バックアップが「実際に戻せるか」を確かめる
クラウドに置いてあるから安心、とは限りません。間違って消したファイルを、誰が、どこから、どう戻すのか。1度だけ実際に試しておくと、いざというときに慢てません。PCの中にしかないデータがあるなら、それが最初に直すべき場所です。
PCの暗号化と画面ロックを必須にする
ノートPCの紛失・盗難は、中小企業でいちばん起きやすい情報漏えいです。ディスクの暗号化(WindowsはBitLocker、MacはFileVault)と、数分でかかる画面ロック。この2つがあれば、PCを置き忘れても「中身は見られていない」と説明できます。
この3点は、新しい製品を買わなくても、今使っているサービスの設定を変えるだけでできます。
やらなくていいこと
逆に、最初の段階ではやらなくていいこともあります。
- 高価なセキュリティ製品の導入。上の3点ができていないうちに買っても、穴は埋まりません
- 社内規程の整備。文書は後でよく、まずは実態を直す方が先です
- 情シスの採用。この規模では専任を雇っても仕事が足りず、定着しにくいのが実態です
自分でやるか、外に任せるか
3つとも、やる気になれば自社でできます。問題は、総務や兼任の社員が、本来の仕事をしながらこれを続けられるかどうかです。
目安として、次のどれかに当てはまるなら、外に任せる方が安くつきます。
- 兼任している人の本来の仕事が、周に半日以上止まっている
- 入退社が月に1人以上ある
- 取引先からセキュリティチェックシートが届いたことがある
アルヴァの社外情シス by ALVAは、この記事の3つを含む「対応する9つの領域」を、月額15万円(税別・目安、従業員30名まで)で引き受けます。導入の最初に行うのも、この記事と同じ「IT環境の棚卸し」です。
自社でやるか外に任せるかを決めかねる場合は、現状を10分で把握できるIT環境簡易診断をご利用ください。診断結果を見て自社でやる、という判断でも構いません。
よくある質問
棚卸しにはどのくらい時間がかかりますか?
従業員40名規模で、請求書と管理画面を見ながら進めて半日〜1日が目安です。完璧を目指さず、まず一度書き出してから直していく方が早く終わります。
多要素認証を全員必須にすると、社員から不満が出ませんか?
最初の1週間は問い合わせが増えますが、その後は落ち着きます。導入日を予告し、設定手順を画像付きで1枚にまとめて配ると、問い合わせは大幅に減ります。
情シスを外に任せると、社内にノウハウが残らないのでは?
窓口を一本化して記録を残す運用(この記事の2つめ)をしていれば、機器・アカウント・対応履歴は会社の資産として残ります。外部に任せる場合は、この記録を会社側がいつでも見られる形にしてもらうことを条件にしてください。